【コラム】資本主義を問う?

 あるドラマの中で、将軍の妻が死ぬ間際に夫にいい残した言葉に、私は深い感銘を受けたものです。

 「耕して、種をまいて、ゆっくり育てられる世の中にして下さい!。」

 地位も名誉も何も要らない!、貧乏でも親子がひっそり肩寄せ合って生きられる、そんな平和な家庭が欲しい!、妻の願いはこんな処にあったように思います。人生の目的を考えた時、この「ゆっくり」の言葉が、魂の叫びのように聞こえて仕方がありません。しかし、現代社会はどうでしょうか?。拝金実利主義が横行し、人々はまるで獲物を狙うライオンのように落ち着きがありません。経済は二十四時間不夜城のごとく活動し、私達の安眠を妨げます。またメマグルしく変化する時代の流れは、私達を無理やり虚飾の世界へ引きづり込もうとします。ああ、何としんどい世の中になってしまったのでしょうか?。これもすべて、資本主義という怪物のなせる技です。

 今の私達は、資本主義が最良のシステムだと思い込んでいます。これほど多くの矛盾を抱え、混乱を抱え、行き詰まっているにもかかわらず、なぜか手放そうとしません。他に道が無いと思っているのか?、共産主義の崩壊を目の当たりに見せられ、矛盾があっても資本主義の方がましだと思っているのか?、それとも惰性に押し流され、舵が利かなくなってしまったのか?、いやもしかしたら、今の華やかな生活を手放したく無くて、目を背けているのかも知れません。

 なぜ資本主義が採用されるようになったかについては、色々と意見があると思いますが、肉体を自分として生きる限り、必然的に生まれる社会システムなのです。生きる目的が肉体を喜ばすためである限り、しのぎを削って突き進む競争社会はやむを得ません。たとえどんなに自分達の首を絞めようと、一旦動き出した歯車を止めるわけにゆかないのが、このシステムの恐ろしいところだからです。

 私達は、自分で自分を追い詰めていることに気付いていないのです。皆で皆を追い詰めていることに気付いていないのです。社会全体で社会全体を追い詰めていることに気付いていないのです。追い詰められた小鹿たちは、一体どこに逃げれば良いのでしょうか?。いじめる方もいじめられる方も、騙す方も騙される方も、犯す方も犯される方も、殺す方も殺される方も、みな逃げ場を失って泣き叫んでいる哀れな小鹿たちです。もう彼らには、断崖絶壁から飛び降りる道しか残されていないのです。

 確かに強くあらねばなりません。でも、現代社会はその許容量を遥かに越えているのです。

 

  • 今の世の中のどこに、安らげる場所があるでしょうか?。  
  • 私達は一体、どんな設計図を持ち、何をなそうとしているのでしょうか?。
  • 私達は一体、何にコントロールされ、どこに向かおうとしているのでしょうか?。

 

 何もありません。ただ盲目的な動きがあるだけです。あえていうなら、その時その時の人の感情と欲望が、社会に流れを作っているといって良いでしょう。ですからこの社会は、人の意思でコントロールできないのです。目に見えない感情と欲望が、私達を断崖絶壁へ運んでいるのが現代社会の姿なのです。

 限界の無い感情と欲望の上に築かれた社会は、危険極まり無い社会です。膨らみ続ける風船がいつか必ず破裂するように、感情と欲望をエネルギーとして膨らみ続ける資本主義社会も、いずれ破裂するでしょう。資本主義社会の崩壊は、もう時間の問題なのです。

 では、他にどんな道があるのでしょうか?。私はこのメッセージで、その道の概要を示しました。何のことは無い、子供でも思いつく当たり前な社会です。人間の感情と欲望としがらみさえ取り払えば、今すぐにでも実現可能な当たり前な社会です。こういうと、色々な問題点を指摘する人もいるでしょうが、私はその人にあえていいたい、

 

  • 夢の世界に、何を残そうというのですか?。
  • 夢の世界で、何を成し遂げようというのですか?。
  • 夢の世界に、何を築こうというのですか?。
  • 夢の世界に、どれだけの名声を轟かせようというのですか?と・・・。

 
 この世は、修学旅行で一晩泊まるホテルのようなものです。どんなに楽しくても、翌朝には旅立たねばならない夢の中のホテルです。そんな腰掛け的なホテルに、一体何を築き何を残そうというのですか?。

 そうです。私達は今、夢の中に蔵を築こうとしているのです。どんな立派な蔵を築き、どれだけ多くの宝物を集めようとも、目覚めればすべて消え去る夢事・夢芝居です。それも、無知が生み出した夢事・夢芝居です。

 無知は矛盾を生み、矛盾が無知の後押しをします。この関係は気づくまで延々と続きます。では、何が気づかせるのでしょうか?。それは痛みです。苦しみです。悲しみです。

 早く気づけば、それだけ痛みも苦しみも少なくて済みます。もうそろそろ人類は、そのことに気づいても良いのではないでしょうか?。

 

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【 光のメロディー集/・・・夢幻の世界・・・