【第一章 馨りを嗅ぐ

 第一章に入る前に、この解説書の意図するところを述べておきたいと思います。私の恩師である知花敏彦先生は、講演の際いつも壇上に三つのコップを用意します。一つは何も入っていないコップ、一つは水の入ったコップ、一つは氷の入ったコップです。そして、「氷は水からでき、水は空気からでき、この三つは三位(身)一体といって、一なる空気からできているのですよ!」、と説明します。これだけ聴くと、「そんなこと知っていますよ!」と誰でもいいたくなる内容です。確かに言葉尻だけ捕らえれば、小学生でも分かる内容です。

 「もう聴き飽きたよ!。いいかげんにして欲しいな!」という人もおりますし、「なぜ同じことをクドクドいうのだろう?」と首を傾げる人もいます。でもクドクドいうには、いうだけの理由があるのです。

 言葉や文字は、読むため、聞くため、語るためにあるのではありません。理解するためにあるのです。理解しなければ、読んだことにも、聞いたことにも、語ったことにもならないからです。三位一体の話も、私達は解ったつもりでおりますが、実際は心底で理解していないのです。だから先生は、いつもコップを前にしてコンコンと説いているのです。

 この解説書も同じです。この解説書には、同じような言葉が随所に出てきます。字面だけ読めば読み過ごしてしまう、何の変哲もない言葉ばかりです。でも、それでは読んだことにはならないのです。字面だけ読むのではなく、文字の奥に隠されている薫りを実感して欲しいのです。心の底から理解できたら、細胞が震えてきます。内的光が見えてきます。そうなるまで読み続けて下さい。そうなるまでコップと睨めっこして下さい。

 《注》私達は真の求道者です。ならば目に見えるもの、肌で感じられるものは、すべて否定しなければなりません。なぜなら、五官で感じられるものはみな幻だからです。(夢も、幽界も、物質界も幻です)ですから、巷で騒がれている幽界や霊界の話は、ここでは禁句とさせていただきます。特に「霊」については、くれぐれも誤解なきようご注意下さい。


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